HC85系

 HC85系はJR東海管内で運行されている特急「ひだ」や「南紀」用の車両として開発、投入された車両です。 JR東海としては初めてのハイブリッド気動車で、営業最高速度120km/hと、ハイブリッド気動車の中では一番高速で走行できる鉄道車両となっています。 元々特急「ひだ}や「南紀」に使用されていたキハ85系は、一両単位で運用されていましたが、HC85系は編成単位で運用されており、グリーン車併結4両のD0編成、2両編成のD100編成、4両編成のD200編成の3パターンがあります。 3種類の編成を組み合わせて、最小2両編成から最大10両編成で運用されています。
普通車車内にある座席のモケットはオレンジ色や赤色を貴重とした暖色系で、照明も電球色と温かみのある内装となっています。また、グリーン車座席は青色や緑色といったモケットになっており、涼しげな印象です。 デッキなどの壁は木目調にしたり、HC85系が運転される飛騨や紀伊の伝統工芸品を展示するナノミュージアムが設置され、和の雰囲気が感じられます。 トイレは車いすにも対応できる広々とした空間となっています。 2022年7月から特急ひだに投入され、2023年7月には特急南紀号に投入され、先代のキハ85系を置き換えしました。
D1編成(グリーン車付4両編成)
D101編成(モノクラス2編成)
D201編成(モノクラス4両編成)

製造両数

68両(D0編成8本32両・D100編成10本20両・D200編成4本16両)

使用列車

特急ひだ、特急南紀、そのほか臨時特急など

運行線区

東海道本線(名古屋-大阪)・高山本線(岐阜-富山)・関西本線(名古屋-河原田)・伊勢鉄道線(河原田-津)・紀勢本線(津-紀伊勝浦)

サイト開設者のコメント

 先代のキハ85系に比べてシートピッチが広くなり、車内が快適になりました。アームレストには全席にAC100Vのコンセントが設置され、電子機器の充電ができるようになるなど、現代に合った設備が取り付けられています。 車内放送前のメロディには国鉄形ディーゼルカーで使用されていたアルプスの牧場をスギテツがアレンジしたものが流れます。また、観光案内放送がこまめに流れ、旅情をさらに掻き立てられます。 車内の案内表示器にはバッテリーで電力をアシストしていたり、充電中であったり、ハイブリッドシステムの状態を見られるようになっているところも面白い点だと思います。
残念な点は、前面展望がほぼ不可能な点です。ハイブリッドシステムを搭載するにあたり、必要機器を助士席や運転席後ろにも設置を余儀なくされたので、貫通扉あたりくらいしか窓を配置できなかったみたいです。 それでも可能な限り、車内に機械室などといったデッドスペースを設けないように車両を設計したJR東海と日本車輌製造はさすがだな、と思います。