キハ85系
キハ85系はJR東海で初めて開発した特急用車両です。特急ひだや特急南紀では、キハ82系で運転されていましたが、非力であったため、所要時間を多く要していました。
新しい特急型気動車を開発に当たり、国内外のエンジンを調査した結果、カミンズ社のエンジンが小型でかつ大出力であり、日本でも流通していたことから導入に至ったそうです。
350馬力のエンジンを1両に2基搭載し、最高速度は120km/hで走行可能。名古屋-高山間を約2時間半ほどで走行可能になりました。
車両は1両単位で組み換えが可能で、最短2両から最大10両編成まで運用されていました。需要に合わせて両数を変えていたので、3,5,7,9両といった奇数編成も存在しました。
非貫通型のキハ85形0番代やキロ85形は大型な前面窓を採用されていることから、前面展望が楽しめられます。ほぼ全席がハイデッカー構造になっており、大型の側窓も相まって、かなり眺望が楽しめられる設計
となっています。そんなことから運行開始から(ワイドビュー)という愛称が付けられ、列車名にも特急(ワイドビュー)ひだ1号…というように時刻表などで表記されるようになりました。
元々南紀用に投入されたキロ85形は3列シートでかなりゆとりのある座席配置になっていました。また、後年になって、バリアフリーに対応するために、キハ85形100番代と200番代209号に改造が施され、
トイレを車いす対応にし、座席の一部をハイデッカー構造を取り除き、車いすのままでも乗車できるようになりました。
30年以上JR東海で使用してきたキハ85系でしたが、老朽化が進んできていたため、ハイブリッド気動車の
HC85系が開発され、2023年11月には京都丹後鉄道に譲渡された車両とキハ85-1を除いてすべて廃車されました。
京都丹後鉄道に譲渡されたキハ85系ですが、丹鉄で小改造されたのちにKTR8500系として、2024年より特急タンゴリレーなどで活躍しています。
高山本線を特急ひだとして走るキハ85系(非貫通型先頭車)
紀勢本線を特急南紀として走るキハ85系(貫通型先頭車)
製造両数
81両(キハ85形0番代14両、キハ85形100番代19両、キハ85形200番代9両、キロ85形5両、キハ84形0番代14両、キハ84形200番代5両、キハ84形300番代5両、キロハ84形10両)
使用列車
特急ひだ、特急南紀、そのほか臨時特急など
運行線区
東海道本線(名古屋-大阪)・高山本線(岐阜-富山)・関西本線(名古屋-河原田)・伊勢鉄道線(河原田-津)・紀勢本線(津-紀伊勝浦)ほかイベント等で他線区に走行されました。
サイト開設者のコメント
パノラミックな側面窓が旅情を掻き立てます。大出力のディーゼルエンジンを搭載していることもあって、かなり走行音は大きめですが、そのエンジン音が心地よく、乗っていると落ち着きます。
車内放送前にはオリジナルのメロディが流れますが、ワイドビューチャイムと呼ばれています。それらは譲渡された丹鉄でも使用されており、往年の姿を味わうことができます。
1両単位で増解結ができ、先頭車の先にさらに先頭車を増結することを「変態連結」とも呼ばれています。気動車の場合、電車に比べて加速力が低い傾向にありますが、キハ85系は大出力エンジンのおかげで、
電車に負けない加速力があります。また、リターダーを搭載しているのか、減速時の独特の音もたまりません。